7年ぶりに投稿する。これだけ空くと、何かきっかけがないと再開できないので、昨日(2026年10月7日)の阪神/広島戦で感じたことを書いてみたい。
昨日は西勇輝の引退試合だった。3者連続三振に打ち取った球を見るとまだまだ現役でいけそうだったが、18年間第一線で投げ続けて来て、本人には納得するものがあったのだろう。思い切りのいい空振り三振に倒れた広島の末包が、立派な投手の引退試合の打席に立てて光栄だったとコメントしていたのが、スポーツマンらしくて清々しかった。末包自身、故障で悔しいシーズンを送ったこともあったと思う。広島は薬物汚染で選手のモラルが疑われた1年だったが、こういう選手もいることはもっと取り上げられていい。
西は中学時代、菰野ボーイズで活躍していた。彼がオリックスで頭角を現し始めたころ、地元ではもちろん大変な人気で、私は練習試合の対戦相手がプロの選手を輩出していることに素直に驚いたものだが、その選手の引退にあたり、西がプロ野球選手人生を全うする間、兎にも角にも福井嶺北もずっと頑張って続けてこられたなあ、と何の関係もないのに感慨を深めている。
だが今日書きたかったのは、西のことではなく、以前ベストバッテリー賞を一緒に受賞した梅野が久々にスタメンマスクを被って奮闘したことだ。
かつて3年連続ゴールデングラブを受賞したこともある梅野だが、近年は、坂本、そして今年新たに加入した伏見という強力な布陣の中で出番をめっきり減らしていた。しかし、腐っても仕方がないような状況の中でも、彼がずっと準備を続けていたことが昨日の試合で証明された。なんといっても、阪神の捕手が手薄な時代、足指の骨折をしながらサイクル安打を打った選手である。一昨日途中出場で久々のクリーヒットを放ち、その健在さをアピールした。その際ベンチの坂本と伏見が大喜びしていたのも見た。三人はライバルであっても、中途半端なファンが煽るようないがみ合う関係ではなく、同じ目標を持った仲間であることを示した瞬間だった。
西の引退試合は、奇しくも、久しぶりにスタメンマスクを被ることになった盟友梅野の初めてのサヨナラ安打で幕を閉じた。これがフィクションなら安直すぎるが、事実はドラマよりドラマチックだ。こういうことがあるから、「野球の神様」はきっといるのだろうと思ってしまう。
阪神の野手は近本以外の主力をすでに下げており、実質ここで点が入らなければ西の引退試合を勝利で飾る可能性は低かった。2ストライクに追い込まれた梅野の当りはボテボテのショートゴロ。勝田は植田の足を意識したのだろう。バウンドに焦りつかみ損ねた。このとき梅野は、三振だけはダメだ、とにかくフィールド内に転がせば、快速の植田が帰ってきてくれると信じて打席に入っていた。そして、執念の打球を公式記録員はエラーではなく、内野安打と判定した。いわゆる「汚いヒット」である。
きれいなかっこいいヒットではなかった。しかし、一三塁までつないだ各選手、梅野の執念と植田への信頼がなければ野球の神様がほほ笑むことはなかった。
この試合は、優勝が決まった後の消化試合である。しかし、優勝決定前の試合だろうが、その後の消化試合だろうが、チームの勝利のためにやるべきことをやるのは全く変わらない、と梅野はヒーローインタビューで胸を張った。梅野の姿勢は、自分の役割に徹しきれず伸び悩む若手に大いに見習ってほしいものだ。ホームランだけが野球ではない、野球はチームスポーツなのだ。
嶺北もこれから1年近く、公式戦では上級生と厳しいたたかいに直面しなければならない。なかなか勝てなくて落ち込むこともあるかもしれない。しかし、どんな時でも「チームの勝利のためにやるべきことをやる」気持ちだけは持ち続けていけば、1年後に必ず大きな花を咲かせるだろう。
昨日の試合の結末が、きれいなヒットでなく、「汚いヒット」だったことを、何より愛おしく振り返っている。