2020年5月23日土曜日

頑張ることは、繋がるんや

 NHKの連続テレビ小説「エール」をずっと見ている。

 5000曲以上を作曲した作曲家古関裕而とその妻金子をモデルにした物語で、窪田正孝と二階堂ふみの初々しい演技から元気をもらってる。

 今週は、自分の実力を示そうと躍起になるあまり袋小路に入り込んでしまった裕一(裕而)が、早稲田大学野球部の新しい応援歌「紺碧の空」の作曲に取り組むことで、新しい道を見つけるところだった。

 宿敵慶応に勝てない早稲田の応援団は、新しい応援歌を裕一に依頼するが、クラシック志向の裕一はやる気にならない。裕一の心を動かしたのは、かつて自分のせいで怪我を負わせた親友のためにも何としても早稲田を勝たせてほしいと語る団長の言葉。裕一は一晩で「紺碧の空」を作曲し、その秋早稲田は慶応を破り、この歌は今も早稲田の第一応援歌として歌い継がれている。

 団長は「頑張ることは、繋がるんや」と話す。野球で頑張っている人は、周囲の人にも頑張ろうという気持ちを呼び起こす。またその人が別の人を励ます。そうやって、「頑張ることは、繋がるんや」と。

 私は運動は全く駄目だが、大学時代合唱に熱中した。男だけの男声合唱で、「生活に結び付いた歌を、社会に明るい歌声を」をスローガンとして、人々に勇気を与える歌をできるだけ高い技量で追及する硬派の合唱団だった。残念ながらだいぶ前に廃部して今はない。音楽は素人だったが、音楽の技術的なことより、人の心を動かし、ひいては社会も変えてしまうような力が音楽にあることを学んだ。(近年では、南アフリカの黒人解放にポール・サイモンやスティービー・ワンダーの音楽が影響を与えたと言われている)

 野球でも、音楽でも、独りよがりでは意味がない。不器用でも頑張っている姿は、同じように苦しんでいる人を励ますことができる。

 もうすぐ野球の練習は再開できるだろう。焦る気持ちも当然あるだろうが、ひたむきに努力することが誰かを励ましていることも忘れないでほしい。そして、周囲から応援される選手になってほしい。 

 誰でも声をそろえて歌いやすく、気持ちが込められるという古関裕而の歌の特徴は、「紺碧の空」に既に明確になっていた。彼はその後、「栄冠は君に輝く」「六甲おろし」など、野球好きなら誰もが知っている名曲を次々に生み出していく。

 たまたま、昨晩はNHKBSで、2005年のセリーグで阪神が優勝した試合を見た。「六甲おろし」は何度聞いてもいい曲である。