2020年5月27日水曜日

感謝の身持ちを力に変えて

「今やらなければならないことを全力で」

 われらが名誉顧問宮本和知さんからいただいた言葉を、ずっとチームのスローガンにしてきた。もう一つ、宮本さんが繰り返し子どもたちに語ってくださる言葉で、忘れられないものがある。

 「ありがとう」の反対の言葉は何か、と宮本さんは子ども達に聞く。皆さんは何を思い浮かべるだろうか。答えは、「ごめんなさい」じゃなくて、「当たり前」。

 自分が希望さえすれば野球を続けられる、これは「当たり前」じゃない。でも、私たちは些細なことにばかり気を取られて、すぐに忘れてしまう。今、コロナ禍で野球はおろか、学校へも行けない長い期間、野球ができるのは当たり前じゃない、と子ども達もつくづく思い知らされたのではないだろうか。

 つらい時、自分のことだけを考えていると行き詰るが、小さなことでも、誰かのために何かしたいと思えば、意外に人は強くなれるものだ。

 TVのニュースで医療に従事される方や運輸に従事される方への偏見や差別について取り上げていた。

 「偏見」という言い方に私は違和感を感じる。「偏見」というと、悪気はないが、知識が不足し、本当の姿が見えなかったせいであって、「偏見」を持った個人には責任がないかのような言い方だ。緊急事態の下、医療や運輸に従事される方の献身的な努力がなければ社会が成り立たないことは、子どもでもわかる。
 たとえ「偏見」を持たれても、医療や運輸に従事する方は、その職場を守り続けなければならないことが分かっていて、自分の不安や不満のはけ口に、逃げ場のない人を攻撃する。これは、人間としていちばん恥ずかしいことだと思う。

 病気になったら医者に診てもらえる、携帯で注文すれば必要なものを自宅まで運んでくれる、これは全然「当たり前」じゃない。
 素直な気持ちで考えていけば、「当たり前」で済むことなんかひとつもない。
 今もきっと、野球どころではない人たちが、野球を再開できる人よりも大勢いる。

 その中で大好きな野球を始められる僕たちは、何は無くても「ありがとう」の思いを忘れないようにしたい。
 そして、まだ困難はあるだろうが、一人の脱落者も出さず、選手全員に中学野球を完走させたい。

 活動再開まで、あと3日である。