2020年5月3日日曜日

早稲田対駒大苫小牧

 緊急事態の下、TV番組の製作も困難となり、再放送が増えているが、過去の名作やスポーツの名勝負が見られるので、それはそれで嬉しいものだ。

 先日も、星野阪神が赤星のサヨナラヒットで優勝を決めた試合が見られたし、今日は、2006年夏の甲子園、伝説となった早稲田対駒大苫小牧の決勝戦のダイジェストを見ることができた。

 2日間で24回を投げあうなどということは、今の時代考えにくいが、この試合には、球数やイニングの制限について考え直させられてしまう、そんな迫力がある。田中、斎藤ともに、高校生とは思えない肚の据わったピッチングだ。
 奇しくも最後の打席は斎藤と田中の対決で、なんと147kmを計測した斎藤の4球目を田中が空振りして早稲田の初優勝が決まった。それまでポーカーフェイスを保っていた両選手の表情が好対照だった。感情が押さえられず涙を溢れさせる斎藤に対し、敗れた田中の爽やかな表情が印象的。相手の力が上回ったことを潔く認めた田中の表情からは、敗北した悔しさより全力を出し切った清々しさが見て取れた。

 田中はプロへ進む決意を固め、名将野村の指導で成長し、日本でも米国でもご存じの通り次々偉業を成し遂げるが、そのスタートは、あの空振り三振の瞬間に切られていたのだと思う。

 たかが直径7cm余りの白球を追いかけるこのスポーツが、一人の人間自体やその人生を変える瞬間がある。それは疑いようのない事実だ。
 勝っても、負けても、子ども達にその瞬間を味合わせてやりたい。心から願う。